貸座敷業者
貸座敷業者はふつう、その抱えている娼妓の印形を自分で預り、帳簿をみせないで自分勝手に計算して、娼婦の前借金を減らそうとするのではなく、むしろなるべく殖やし、できるだけ長く引きとめて醜業を継続さすように仕向けています。
だから娼妓の大部分は、一生懸命に稼いだために前借金が減るどころか、かえって一年一年増加してゆくぼかりです。
それも知らぬまに殖えていっているのだからたまったものでない。
顔が美しく身体の丈夫な娼妓でさえそうであるから、病身ではやらない娼妓にいたってはその前借金の殖えること実におびただしいものがあった、と。
皮肉なことに、こうした前近代的な彼女たちの労働が厳格な近代的時間管理のもとにおかれていたことで、例えば芸妓の花代、1本5銭、それを基準にして、送り込花2時間以内1時間は8本狩(1円20銭)、午前6時から正午まで8本(1円20銭)、午前6時から午後6まで34本(5円10銭)等々といった調子で、細かな時間料金が立てられていました。